難治性着床不全の治療(PFC-FD™)とは
この治療法は、あなた自身の血液から抽出した高濃度の血小板に含まれる成長因子を子宮内に注入する方法です。血小板由来の成長因子は、細胞の成長をうながす物質や免疫にかかわる物質を含むため、着床不全が改善される可能性があります。
この期待される効果により、受精卵が着床しやすくなると考えられています。自己血小板由来成分濃縮物(PFC-FD™)を用いた治療は、不妊治療以外にも顔の皮膚などに投与する形成外科治療や関節に投与する整形外科治療におこなわれています。まだまだ確立された治療法ではありません。
対象者
PFC-FD™は感染症検査(HIV、HBV、HCV、梅毒、HTLV-1)で陰性の方のみ作製が可能です。血液検査の結果によって作製ができない場合は、血液検査費用のみご負担をお願いいたします(¥11,000)
体調の良くない場合や血液の状態によっては、ごく稀に作製が出来ない場合もあります。その際には再度採血をお願いする場合があります。また、医療機関からの血液を輸送する際に破損があった場合は、再度採血をしていただく必要があります。
検査の流れ
1. 注入
月経周期(月経が始まった日が1日目)の10日目頃、12日目頃にPFC-FD™を子宮内に注入します。
2. 胚移植
月経周期の17日目から19日目頃に胚移植を行います。
検査方法
この治療に用いるPFC-FD™は、治療を受ける本人(あなた)から採取した血液を元に作製し、主に血小板に由来する成長因子から構成されます。採血は、注射器を用いた一般的な方法で当院にておこないます。
PFC-FD™は、セルソース再生医療センター(特定細胞加工物製造許可施設、厚生労働省認可)に採血した血液を搬送し作製します。採取した血液を専用のチューブと遠心分離機を用いて遠心分離(遠心力を利用して、血液中の成分を分離する方法)し、フィルターを通して不要なものを取り除いた後、凍結乾燥を経て、成長因子のみを濃縮・抽出します。
メリット
PFC-FD™には成長因子が多く含まれていることから、子宮内に注入することで、子宮内膜が着床しやすくなる効果が期待できます。さらに、胚移植後受精卵が着床しやすくなることが期待できます。
デメリット
PFC-FD™は、治療を受ける本人(あなた)の血液を使います。他人の組織を移植する場合に用いる免疫抑制剤を使うことがないため、この免疫抑制剤による副作用の心配はありません。
採血のために静脈内に注射針を刺す行為が必要となりますので、採血したところに一時的な痛みや腫れ、皮下出血を伴うことがあります。また、採血は約50mLですので、通常の献血量である200mL、あるいは400mLに比べて少量であり、比較的安全性の高い処置だと考えられますが、ごく稀に気分不良、吐き気、めまいを生じる場合があります。これらの症状が起きた場合には最善の処置を行います。
全ての方に効果があるとは限らず、胚移植まで至らない場合もあります。また、PFC-FD™を子宮内に注入するとき、ごく稀に器具などによる膣や子宮内の擦過傷を伴う場合があります。不妊治療の成否には様々な要因が関わっているため、この治療だけで不妊治療の成否を判断することは出来ません。
作製したPFC-FD™が規格を満たさない場合や、作製途中で発生した問題により作製が完了しなかった場合など、採血を行ったにもかかわらず、治療ができない場合があります。
検査費用
この治療は、社会保険、国民健康保険などの医療制度上の保険で受けることはできません。そのため、この治療に必要となる費用につきましては、あなたに全額ご負担いただく必要がございます。
治療に必要となる費用は220,000円となります。感染症検査陽性の場合は、感染症検査費用として11,000円のみお支払い頂きます。
なお、血液の採取後やPFC-FD™の作製後に同意を撤回された場合など、同意を撤回される時点までに費用が発生している場合は、発生した費用についてはご負担いただきますのでご了承ください。
その他留意点
麻酔薬や抗生物質に対するアレルギーを起こしたことのある方は、この治療を受けることができません。
この治療にあたって、ヒトゲノム・遺伝子解析は行いません。また、採取した血液や作製したPFC-FD™を
今後、別の治療や研究に用いることはありません。
※PFC-FD™は、
監修医師情報
専門 |
日本産科婦人科学会産婦人科専門医 日本産科婦人科学会産婦人科指導医 日本生殖医学会生殖医療専門医 生殖・内分泌 子宮内膜症 子宮腺筋症 着床 |
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お子さんが欲しいという希望や、なかなかできないという悩みに、少しでも手助けできるよう心がけています。
是非、いらっしゃって下さい。
2006年 | 東京大学医学部医学科(理科3類)卒業 |
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2007年 | 焼津市立総合病院 |
2009年 | 東京大学医学部附属病院 |
2010年 | 焼津市立総合病院 |
2011年 | 河北総合病院 |
2012年 | 東京大学大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻博士課程 |
2015年 | 日本学術振興会特別研究員 DC 着床関連の研究に従事 |
2016年 | 大学院博士課程卒業 医学博士 |
2016年 | 日本学術振興会特別研究員 PD |
2017年 | 東京大学医学部附属病院 助教 |
2019年 | 東京大学医学部付属病院 生殖グループ 総ハウプト |
2020年 | 松本レディースクリニック/リプロダクションオフィス 常勤医師 |
2021年 | 松本レディースリプロダクションオフィス 院長 |
専門 |
日本産科婦人科学会産婦人科専門医 生殖・内分泌 着床 |
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受診や治療自体がストレスにならないように心がけています。
なかなか授かれない状況で不安や悩みが多い方もいらっしゃると思います。
心折れずに次の一歩を踏み出し続けましょう。
お二人がゴールにたどり着けるように精一杯サポートさせていただきます。
2011年 | 東京大学医学部医学科(理科3類)卒業 |
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2011年 | 東京大学医学部付属病院 |
2013年 | 焼津市立総合病院 |
2018年 | 松本レディースクリニック/リプロダクションオフィス 非常勤医師 |
2020年 | 同 常勤医師 |
2021年 | 松本レディースリプロダクションオフィス 副院長 |