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クリニックの特徴 タイムラプスシステム

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当院では、新しいテクノロジーであり、胚の画像を10 分毎などの一定間隔で写真撮影を行い、その写真を連続で写すことにより動画のように見る「タイムラプスシステム」を導入します(2020年2月リニューアル後)。

 

妊娠率の向上へ:良好な胚の選択

不妊治療において、健康な新生児が誕生する可能性が高い胚を選択することは最大課題の一つです。

培養室の中の受精卵

体外受精の際採卵された卵子はどのようにしてお母さんのお腹に帰っていくのでしょうか?まず、採卵された卵子は培養液という胚を培養するためのお母さんのお腹の中(卵管)を再現するための液に移されます。この培養液の中で卵子と精子を受精させます。

受精の方法には2種類あって、精子の数が多くて運動性も良い場合は培養液の中で卵子と精子を混ぜあわせて自然に近い形で受精させます。これを体外受精(cIVF)といいます。精子の数が少ない場合や精子の運動性が低い場合、またcIVFで正常に受精しなかった場合には卵子に精子を注入する顕微授精(ICSI)という方法で受精させます。ICSIは1つの卵子に対して1つの精子を注入しますので、精子が1つでもあれば大丈夫ということになります。

受精した卵子は受精卵もしくは胚と呼ばれています。胚を培養する時にも培養液を使います。培養液はインキュベーターという専用の培養機器によって温度・pH・浸透圧など胚が成長するのに必要な環境を維持しています。インキュベーターは37℃に維持され、二酸化炭素(CO2)と酸素(O2)の濃度をコントロールしています。受精が確認出来た胚はお母さんのお腹に移植(ET)されるまでインキュベーターで培養されます。

 

胚の成長

胚はインキュベーターの中で、細胞分裂を繰り返して成長していきます。これを分割といいます。卵子が正常に受精すると1つの細胞の中に前核が2つ見える2全核期(2PN)と言われる状態になります。(2PN)しばらくすると2つの前核が消え最初の分割が起こり2細胞期(2cell)の胚になります。次にこの2つの割球が同時期に分割して4細胞期(4cell)になり、この4つの割球が分割して8細胞期(8cell)になります。8細胞期から16細胞期になる段階で割球と割球がくっついて(コンパクション)1つの塊に見える桑実胚(そうじつはい・モルラ)になります。さらに時間が経つとモルラの中に胞胚腔という液胞が出来ます。この段階が胚盤胞(はいばんほう・胚盤胞)で、内側の膨らみが胎児になる内部細胞塊(ICM)で外側の膜が胎盤になる栄養外胚葉(TE)です。

 

良好胚とは?

初期胚

コンパクションする前の胚を初期胚(又は分割胚)といいます。割球の大きさが同じか?フラグメントの量・成長速度で判断し、1~5で評価します。

胚盤胞

胚盤胞は成長の段階を数字で、ICMとTEの数や質をA~Cで評価します。例えば成長段階が4の胚盤胞で、CMの形態が良好で、TEの形態が良くない場合、4ACといったグレードになります。

 

妊娠率の向上

従来の胚の評価では、胚培養士がインキュベーターの中の胚を取り出し、3~5日間にわたって一定の時点で3~4回の観察/検査を実施します。胚がインキュベーターの外に出ると、宇宙空間に出された人間と同様、温度も空気も全く違う環境にさらされる為、とても大きなストレスがかかります。ですので、従来の手法での観察時間は最小限に抑える必要があり、動態的評価の時間は限られてきます。

最近はそのような状況の解決策のひとつの可能性として、ヴィトロライフ タイムラプスが出てきています。

タイムラプスシステムは、最新胚培養インキュベーター、胚選択の精度が向上した最新ソフトウェアEmbryoViewer、胚を安全に取り扱うためのEmbryoSlide培養皿で構成されています。

 

タイムラプスの機能

タイムラプスシステムは、内蔵カメラと顕微鏡を備えたインキュベーターの中で、胚の画像を10 分毎などの一定間隔で写真撮影を行い、その写真を連続で写すことにより動画のように見る技術です。これによりインキュベーターから胚を取り出さない、安定した培養環境での状態で観察を行っていくことができ、2~5日間にわたって個々の胚のタイムラプス動画の作成ができます。

更に、最新のソフトウェアで、最良の胚の選択の可能性を向上させることができます。

 

タイムラプスのメリット

培養環境の向上だけではなく、タイムラプスで胚の成長を継続的に観ていくことで妊娠しやすい胚と、しにくい胚の違いが分かると言われています。今までの限定的な回数での観察過程の結果より情報が圧倒的に多くなるため、異常な分割や胚を見つけることが可能になります。

 

タイムラプスシステムの使用は自分に適しているのか?

タイムラプスで得た情報を使用することは、妊娠しにくい胚の移植リスクを低下させながら、妊娠しやすい胚を優先して移植することで妊娠率を上昇させると言われています1,2。また、タイムラプスの画像情報を用いて胚を選択することで、標準的な方法と比べて流産率が有意に低下することが報告されています3,4

また、タイムラプスはすべての年齢層の患者に対する妊娠率の向上が報告されているので、高齢患者にとっても朗報です3

  

患者としてのメリット

  • タイムラプスは安定した培養環境の提供により、良好な胚発生を促進します。
  • タイムラプス は妊娠の可能性が高い胚の識別に対して、不妊治療専門医・胚培養士に説得力のある根拠を示すことで、効果的な不妊治療を維持します。
  • 中でも、EmbryoScopeは世界中で最も広く採用されているタイムラプスシステムです。臨床成績の向上も数多く報告されています。

 

参考文献:

1.McLernon et al.BMJ.2010 (341): c6945.2.López-Regalado et al.Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol.2014 (178): p. 192-8. 3.Barrie, A. et al.Fertil Steril, 2013. 100(3): p. S248.4.Rubio, I. et al.Fertil Steril, 2014. 5.Zhang, J.Q., et al.Reprod Biomed Online, 2010. 20(4): p. 510-5

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