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不妊治療TOP妊活のお役立ち情報「男性不妊」とは?種類ごとの原因・検査方法を解説

「男性不妊」とは?種類ごとの原因・検査方法を解説

コラム
2025.11.04

池袋駅 東口から 徒歩3分

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松本レディースIVFクリニックは、
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男性不妊とは何か?

「妊る(みごもる)」という言葉に「男性」は本来当てはまりませんが、不妊の問題は男女のどちらにも原因がある可能性があるため、「男性不妊(male infertility)」という言葉が存在します。
この言葉は1946年の海外文献に登場しており、日本においても1948年にはすでに用いられていました。
当初は婦人科医による報告が中心でしたが、1960年代頃からは、泌尿器科医の関与も増えてきました。

しかし、1990年代に顕微授精ができるようになったことで、精子の状態が悪くても妊娠が可能となり、、泌尿器科医が担っていた役割は一時的に減少しました。
ところが近年では、顕微授精だけでは妊娠に至らないケースでも、精子の質を改善させることで妊娠率が向上することがわかってきました。

ここでは、そうした背景もふまえて、男性不妊について詳しく解説していきます。

男性不妊で考えられる原因

男性不妊の原因は、以下の4つに大きく分類されます:

1.造精機能障害(精子をうまく作れない)
2.性機能障害(勃起や射精の問題)
3.精路閉塞性障害(精子の通り道がふさがっている)
4.その他

なかでももっとも多いのは「造精機能障害」で、男性不妊の約82%を占めます。
造精機能障害の主な原因には以下が含まれます:

・特発性(原因不明)
・精索静脈瘤
・染色体異常
・薬剤性
・停留精巣
・低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 など

特に多いのが、原因が明確でない「特発性」と、「精索静脈瘤」です。

精索静脈瘤は、超音波検査で診断が可能です。
精索静脈瘤があると、精巣の温度が上昇したり、酸素が足りなくなる「低酸素状態」になったりすることで、以下のような影響が起こりやすくなります:

・精子の数が少なくなる
・精子の運動率が下がる
・精子のDNAが傷つきやすくなる(DNA断片化率の上昇)

このような変化が、男性不妊の一因になるとされています。

「性機能障害」は、勃起障害(ED)や射精障害などによって、性交渉が上手くできない状態を指します。
近年では、ストレスやライフスタイルの変化などにより、性機能障害に悩む男性が増えていると報告されています。
しかし、デリケートな問題であるために、なかなか他人に相談できず、ご夫婦だけで抱え込んでしまうケースも多いようです。

症状からみる男性不妊の原因

精子は、精巣の中にある「精細管(せいさいかん)」という非常に細い管で作られます。
精子の元になる細胞は、約74日かけて“精子”として成熟していきます。この過程では、自分の体をつくるための設計図(染色体)を半分にして、子どもの体をつくるための設計図に変えるという重要なステップが含まれています。
成熟した精子は、精巣から前立腺や精嚢といった臓器へと運ばれ、精液と混ざって尿道から射出されます。精子の形成から射出までには、合計でおよそ3ヶ月ほどかかることが知られています。

このように、精子は体内に長くとどまるため、生活習慣の影響を受けやすいという特徴があります。

たとえば、
・喫煙
・飲酒
・ストレス
・食生活の乱れ
・睡眠不足
などが「酸化ストレス」として体にかかり、それが精子のDNAにダメージを与えることがわかっています。

精子が酸化ストレスに弱い理由

体の細胞には、染色体を含む「核」があり、それが細胞質に守られていますが、精子は細胞質をほとんど持っていません。
そのため、DNA(=子どもの設計図)を包む構造が非常に脆弱であり、酸化ストレスの影響を直接受けてしまいます。

この影響により、以下のような変化が起こることがあります:

・精子の数の減少
・精子の運動率の低下
・正常な形の精子の割合(正常形態率)の低下
・精子DNAの断片化(損傷)の増加

これらは、いわゆる「特発性(原因不明)造精機能障害」の背景として関係していると考えられています。

最も多い原因「精索静脈瘤」

明確な原因がある造精機能障害のなかで、最も多いのが精索静脈瘤です。

これは、精巣から心臓へ血液を戻す静脈がうまく機能せず、逆流して精巣の周囲の静脈が太くなり、瘤(こぶ)のようになる状態を指します。

・一般男性の約10〜20%にみられる
・命に関わるような病気ではない
・ただし、男性不妊の方では30〜40%と高い割合でみられる

精索静脈瘤があると、精巣内の温度が上昇したり、血流が滞ったりするため、精子の数の減少や運動率の低下が起こりやすくなり、男性不妊の原因になります。

この問題を根本的に改善するためには、手術による治療が有効であることが複数の研究からも明らかになっています。

顕微授精は男性不妊の不安を解消できる?

よく患者さんから「精子の状態が悪くても顕微授精ができるから大丈夫と言われました」といったことを聞きます。確かに、1個の卵子に対して1個の精子があれば、顕微授精は可能です。

しかし、顕微授精の後、胚盤胞となり、着床し出産に至るためには、使用する精子の「質」が重要であることが知られています。
例えば、精索静脈瘤がある場合、手術をせずにART(体外受精・顕微授精)を行った方よりも、手術後にARTを行った方のほうが手術を早く妊娠・出産をしているとの報告もあります。
また、精子DNA断片化率が高いと、胚盤胞に到達する受精卵の割合が低くなることも知られています。

このようなことから、より効率よく妊娠・出産をするためには、男性の治療を行い、精子の「質」を改善することで妊娠率を上昇させることができます。

男性不妊の検査方法

【精液検査】

精液検査では、精液の量・精子の数・精子の運動率などを調べて、妊娠の可能性を評価します。
評価の基準としては、WHO(世界保健機関)が定めた値が用いられます。
この基準値は、1年以内に自然妊娠したカップルの男性の精液データをもとに、各項目を順番に並べた際の**下位5%**を「不妊の可能性があるライン」として設定したものです。

ただし、精液検査の項目は多く、またその値は体調や生活習慣によって毎回変動するため、数値の見方が難しく感じられることもあるかもしれません。

なかでも重要なのは、「運動している精子の総数がどれくらいあるか」とい総運動精子数です。複数の数値に戸惑った際は、この総運動精子数に着目してみると、ご自身の状態をより把握しやすくなるでしょう。

【精巣超音波検査】

精子を作る“工場”である精巣に異常がないかを確認するための検査です。
精巣の内部に腫瘍などがないか、精子の通り道である精巣上体が詰まっていないか、さらに「精索静脈瘤)」の有無などを調べます。

特に精索静脈瘤は、**精子数の減少や運動率の低下、DNAの損傷(精子断片化)**
にも関わり、妊娠率の低下や流産率の上昇とも関連していることが知られています。そのため、男性不妊症の検査の中でも特に重要な検査の一つです。

検査方法は、超音波の機械を精巣に当てるだけなので、痛みを伴うことはありません。

【ホルモン検査】

脳の一部である下垂体からは、精巣で精子を作るために必要なホルモンが分泌されています。下垂体の異常により十分なホルモンが分泌されないと精子数が少なくなるだけでなく、無精子となってしまいます。
また、精巣の異常により精子がうまく作れないと、下垂体からのホルモン分泌が上昇します。

このように、精巣機能を客観的に判断する指標としてホルモン検査が行われます。
ホルモンの値は血液を採取することで知ることができます。外注の検査になりますので、結果は1週間後の外来で説明することができます。

【染色体検査】

精子の数が極端に少ない「高度乏精子症(精子濃度が500万/mL以下)」や、「無精子症」の方では、染色体異常が原因となっている可能性があります。実際に、

・高度乏精子症の方の約5%
・無精子症の方の約15〜20%

に染色体異常が認められたという報告があります。

この染色体検査を行うことで、精子の数が少ない、または精子が見つからない原因を知ることができます。
また、将来的に生まれるお子様に染色体異常が起こる可能性についても知ることもできます。
血液を採取して検査を行い、結果が出るまで3週間ほどの時間を必要とします。

【遺伝子検査】

遺伝子の異状が原因で、高度乏精子症(精子数が非常に少ない状態)や無精子症(精液中に精子が全く存在しない状態)になることがあります。
この検査は、そうした症状の背景にある遺伝的な原因の有無を調べることを目的としています。

高度乏精子症の3〜7%、非閉塞性無精子症の8~12%では、Y染色体上のAZFと呼ばれる遺伝子の欠失が原因の1つとされています。
遺伝子検査を行うことで、精子数が非常に少ない、または精子が全く存在しないことの原因を特定し、不妊治療の方針を決めるうえでの情報収集に役立ちます。

染色体検査と同様、血液を採取することで検査を行い、通常は染色体検査とセットで実施されることが多いです。
※現時点では、遺伝子の欠失そのものを治療する方法は存在しませんが、この検査によって今後の不妊治療の方針を決定するうえで、重要な情報を得ることができます。

男性不妊のお悩みは松本レディースIVFクリニックへ

松本レディースIVFクリニックでは、男性不妊の診療をおこなっております。精子を作るために必要なホルモンの検査、精子を作っている精巣の超音波検査などを行い、少しでも精子の状態を改善させることで、男性も妊娠出産の確率を上昇させることが可能です。

まとめ

今回は「男性不妊」について解説しました。

当院では、奥様が通院されている方を対象に、毎週木曜日に男性不妊外来を行っております。
「精子の状態がよくない」「体外受精や顕微授精をしてもなかなか結果が出ない」「性交渉がうまくいかない」など、さまざまなお悩みに対応しています。

ひとりで抱え込まず、まずは一度、男性不妊外来をご受診ください。おふたりの未来のために、専門の医師が丁寧にサポートいたします。

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監修医師情報

原口 広史
専門 日本産科婦人科学会産婦人科専門医
日本産科婦人科学会産婦人科指導医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
生殖・内分泌
子宮内膜症
子宮腺筋症
着床

お子さんが欲しいという希望や、なかなかできないという悩みに、少しでも手助けできるよう心がけています。
是非、いらっしゃって下さい。

経歴
2006年 東京大学医学部医学科(理科3類)卒業
2007年 焼津市立総合病院
2009年 東京大学医学部附属病院
2010年 焼津市立総合病院
2011年 河北総合病院
2012年 東京大学大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻博士課程
2015年 日本学術振興会特別研究員 DC
着床関連の研究に従事
2016年 大学院博士課程卒業 医学博士
2016年 日本学術振興会特別研究員 PD
2017年 東京大学医学部附属病院 助教
2019年 東京大学医学部附属病院
生殖グループ 総ハウプト
2020年 松本レディースクリニック/リプロダクションオフィス 常勤医師
2021年 松本レディースリプロダクションオフィス 院長
2023年 松本レディースIVFクリニック 院長
田中 智基
専門 日本産科婦人科学会産婦人科専門医
生殖・内分泌
着床

受診や治療自体がストレスにならないように心がけています。
なかなか授かれない状況で不安や悩みが多い方もいらっしゃると思います。
心折れずに次の一歩を踏み出し続けましょう。
お二人がゴールにたどり着けるように精一杯サポートさせていただきます。

経歴
2011年 東京大学医学部医学科(理科3類)卒業
2011年 東京大学医学部附属病院
2013年 焼津市立総合病院
2018年 松本レディースクリニック/リプロダクションオフィス 非常勤医師
2020年 同 常勤医師
2021年 松本レディースリプロダクションオフィス 副院長
2023年 松本レディースIVFクリニック 副院長
2018年6月に改正・施行された「医療広告ガイドライン」に基づき、当ページは医師免許を持った松本レディースグループの医師監修のもと掲載しています。
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